iDeCoは35歳会社員に必要か?新NISAとの使い分けと3つの落とし穴|2026年7月版
先に結論をお伝えします。35歳・会社員で「新NISAもまだ埋め切れていない」段階なら、多くの場合はiDeCoより先に新NISAを優先して問題ありません。iDeCoの強みは掛金が全額所得控除になる節税ですが、その代わり原則60歳まで引き出せないという強い制約がつきます。両者は競合ではなく役割分担です。僕(智史)自身、35歳・会社員・住宅ローンありという立場で、最初は「節税になるなら早くiDeCoを満額」と考えていました。今日はその判断を一度立ち止まって整理します。
なお本記事は情報提供を目的とした解説であり、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資信託等には元本割れのリスクがあります。制度・税制の数値は2026年7月時点で確認したもので、最新情報はiDeCo公式サイトや金融庁など一次情報をご確認ください。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
そもそもiDeCoと新NISAは何がどう違う?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で積み立てて自分で運用し、60歳以降に受け取る私的年金の制度です。最大の特徴は、掛金が全額その年の所得控除になること。一方の新NISAは、運用で得た利益が非課税になる制度で、iDeCoのような掛金の所得控除はありません。ざっくり言えば、iDeCoは「入口(拠出時)で節税」、新NISAは「出口(利益)で非課税」という設計思想の違いです。
| 比較項目 | iDeCo | 新NISA |
|---|---|---|
| 掛金の所得控除 | あり(全額) | なし |
| 運用益の非課税 | あり | あり |
| 引き出し | 原則60歳まで不可 | いつでも可 |
| 受取時の課税 | あり(退職所得控除等で軽減) | 非課税 |
| 口座管理手数料 | 毎月かかる | 金融機関により無料 |
35歳会社員はどちらを先に埋めるべき?
判断の軸は「そのお金を60歳まで触らなくても生活が回るか」です。35歳だと、教育費・住宅ローンの繰上返済・転職や独立といった、60歳より前にまとまった資金が必要になる場面が現実的に想定されます。iDeCoに入れた資金はこれらに一切使えません。だからこそ、引き出しの自由がきく新NISAを土台にし、そのうえで「これは老後まで確実に触らない」と言い切れる金額だけをiDeCoに回す順番が、多くの会社員にとって無理がありません。
新NISAの枠自体をまだ持て余しているなら、その埋め方の考え方は新NISA枠を使い切れない35歳会社員の埋め方で整理しています。まずはこちらで土台を固めてからiDeCoを検討する流れが現実的です。
iDeCoの節税はどれくらい効く?
会社員がiDeCoに拠出できる上限は加入している企業年金の有無で変わりますが、企業年金のない会社員なら月2.3万円が一つの目安です。仮に年収500万円前後で所得税・住民税の合計負担率がおおむね20%とすると、年間の掛金27.6万円に対して、単純計算でおよそ5万円強の税負担が軽くなるイメージです。これは運用成績とは無関係に、拠出した時点で確定するリターンに近い性質を持ちます。
ただし税率は年収や控除の状況で人それぞれ変わります。ここで挙げた金額は考え方を示す試算であり、正確な節税額はご自身の源泉徴収票や国税庁の資料で確認してください。
見落としやすい3つの落とし穴とは?
- 60歳まで引き出せない:急な出費や転職期のつなぎ資金には一切使えません。生活防衛資金を先に確保してから拠出額を決めます。
- 口座管理手数料が毎月かかる:加入時・毎月・受取時に手数料が発生します。掛金が少額すぎると、節税メリットを手数料が削ります。
- 受取時に課税される場合がある:iDeCoは受取時に課税対象です。退職金と受取時期が重なると、退職所得控除の枠を食い合って想定より手取りが減ることがあります。
結局、35歳会社員のおすすめの順番は?
優先順位を1本の線にすると、次のようになります。①生活防衛資金(生活費の6か月分前後)を現金で確保 → ②新NISAで無理のない積立を開始 → ③それでも「老後まで触らない」と言い切れる余力があればiDeCoを追加。この順番なら、流動性を確保しながら節税と非課税の両方を取りにいけます。焦って③から入ると、いざという時に動かせない資金だけが積み上がる状態になりかねません。
よくある質問(FAQ)
Q. iDeCoと新NISAは両方同時にやってもいい?
はい、併用できます。制度上どちらか一方に絞る必要はありません。大切なのは配分で、引き出しの自由がきく新NISAを土台に、老後まで固定してよい分だけをiDeCoに回す考え方が無理のない併用です。
Q. 途中で掛金を減らしたり止めたりできる?
掛金額は年1回変更でき、拠出そのものを一時停止することも可能です。ただし運用は続き、口座管理手数料は原則かかり続けます。無理な満額設定より、続けられる金額から始めるほうが結果的に有利になりやすいです。
Q. 節税額が大きいなら早く満額にすべき?
節税は魅力ですが、60歳まで引き出せない制約とセットです。手元の流動性が薄いうちに満額へ寄せると、急な出費に対応できません。生活防衛資金と新NISAの土台ができてから拠出額を上げる順番が安全です。
Q. iDeCoの中では何で運用すればいい?
iDeCoでも新NISAでも、長期・分散・低コストという原則は同じです。信託報酬の低いインデックス型の投資信託が土台の候補になりますが、iDeCoは60歳まで動かせないぶん、より値動きの荒い商品に寄せる場合はご自身の許容度と相談が要ります。定期預金などの元本確保型も選べますが、その場合は節税メリットが主目的になります。商品ラインナップは金融機関ごとに違うため、口座を開く前に比較しておくと後悔が少ないです。
参考(一次情報):iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)/金融庁 NISA特設ウェブサイト(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)/国民年金基金連合会。制度・税制は改正されることがあります。加入判断の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。


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